2005年 11月 22日 ( 1 )

夏の災厄

好きな作家さんは多いけれど、新刊が出たら買う、という作家さんのひとりが
篠田節子さん。
はまったのは5~6年前でその頃出版されていた本は読破しました。
篠田さんの本は、文庫にしたらかなり厚みのある本が多くて
さらっと読みたい時には抵抗があるのですが、実際読み始めると
どんどん読めてあっという間に読み終わります。
テーマは重いものが多いけれど、複雑難解ではない、というか。

この冬、鳥インフルエンザが大流行するかもしれない、という連日のニュースを見ていて
篠田節子さんの「夏の災厄」という本を思い出しました。

わたしが10代の後半に有吉佐和子にはまって読破していた頃、
「恍惚の人」を読み終わって母に渡しました。
(今考えると、なぜ10代で有吉佐和子だったのか、という気がしますが。)
母も常に本を読んでいるような人なので、恍惚の人、は以前に読んだことが
あったけれど、その時に再読したそうです。
母の感想は「前に読んだ時と、感じたことが全然違う。」ということでした。
その頃母は40代半ばで、同居している親の老後の介護、
ということも近い未来の問題として考え始めていた頃でした。
そういう時に読んだ「恍惚の人」は、若い時に読んだ時と
全く違った衝撃があったそうです。

本ってそういうものなんだなーと当時はおぼろげに思ったものなのですが
昨日、本屋をぶらぶらしていて「夏の災厄」を思い出したので買ってきました。
今日読み終わって、母の言葉が頭の中に蘇ってきました。
5~6年前に読んだ時と全然違う衝撃。

埼玉県のとある市の一角で原因不明で死に至る病気が発生して
日本脳炎と診断されるところから話が始まります。
じわじわと病気が蔓延していく中で、どこから発生した病気なのか
本当に日本脳炎なのか、どうして広がっていくのかが分からないまま
物語が進んでいきます。
さらっと読む小説と違うのは、行政のシステム、産廃や不法投棄の問題を絡めつつ
病気が広がる時の人間心理やパニック状態にリアリティがあるところ。
実際にこういう奇病が蔓延したら、鳥インフルエンザのニュースで言われているような
「病気になった人は強制入院させる。」「家族は社会から隔離する。」
「映画館は閉鎖、人が多く集まるイベントは中止」程度では済まないだろうと
想像させるような作品です。
更に薬害やワクチンの問題も抱えつつ、埼玉県から広がった病気が
都心に近づいていきます。
この先どうなるのだろう、と思いながら一気に読めてしまいます。

本を読んだからと言って何が変わる訳でもないのですが
今の時期にはおすすめです。
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by Raspberry_Angel | 2005-11-22 02:19 | books

お人形服と日々。


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